英語を勉強していると、
「あれ? どっちも日本語では同じ意味やん」
という単語に出会うことがあります。
今回取り上げるのは habit と custom。
辞書を引くと、どちらにも「習慣」という意味が載っています。
ほな、どっちを使ってもええんやろか?
……というと、そうはいきません。
実はこの二つ、同じ「習慣」でも見ているものがかなり違います。
habit は「その人の習慣」
まず habit です。
habit は、基本的に個人が繰り返している行動やクセを表します。
たとえば、
I have a habit of reading before bed.
私は寝る前に本を読む習慣があります。
これは完全に個人の話です。
毎朝コーヒーを飲む。
寝る前に本を読む。
帰宅したらまずテレビをつける。
こうした「いつもやっていること」が habit です。
さらに habit は、日本語の「癖」に近い場合もあります。
He has a bad habit of biting his nails.
彼には爪をかむ悪い癖があります。
この場合は「悪い習慣」でも間違いではありませんが、「悪い癖」のほうが自然ですね。
つまり habit は、
「その人がいつもやってしまうこと」
と考えるとわかりやすいでしょう。
custom は「社会や文化の習慣」
一方の custom はスケールが少し大きくなります。
こちらは社会や文化の中で、多くの人に共有されている習慣です。
たとえば、
It is a Japanese custom to bow.
お辞儀をするのは日本の慣習です。
ここで言っているのは、
「私は毎朝7時に必ずお辞儀をします」
という話ではありません。
日本社会では、お辞儀をするという行動が文化として定着している、という意味です。
そのため custom は、日本語に訳すなら単なる「習慣」よりも、
「慣習」「風習」「しきたり」
と考えたほうがしっくりくる場合が多いでしょう。
お正月の行事、結婚式のしきたり、食事のマナーなどは、こちらの custom の世界です。
「誰の習慣?」と考えれば簡単
habit と custom の使い分けで迷ったら、
「それ、誰の習慣なん?」
と考えてみましょう。
個人の習慣なら habit。
社会や文化の習慣なら custom。
たとえば、
私は毎朝お茶を飲む。
これは個人の習慣なので habit。
一方、
日本にはお茶を飲む文化がある。
となると、社会・文化の話なので custom の方向に近づきます。
同じ「お茶を飲む」という行動でも、どの範囲の話をしているかによって使う単語が変わるわけです。
日本語の「習慣」が働きすぎ?
こうして考えてみると、英語がややこしいというより、日本語の「習慣」という言葉が働きすぎなのかもしれません。
個人が毎朝コーヒーを飲むのも「習慣」。
社会に昔から伝わっている行動も「習慣」。
日本語では一つの言葉でかなり広い範囲をカバーできます。
ところが英語では、
habit = 個人の習慣・癖
custom = 社会や文化の慣習・風習
という具合に、ある程度役割分担されています。
だから単語帳で、
habit = 習慣
custom = 習慣
とだけ覚えてしまうと、
「一緒やん!」
となってしまうわけです。
英単語は「日本語訳」だけでは見えてこない
英単語を覚えるとき、ついつい
「この単語の日本語訳は何?」
と考えてしまいます。
もちろん、それも必要です。
でも、日本語訳を一つ覚えただけでは、その単語が持っている本来のイメージまではなかなか見えてきません。
habit と custom なら、
habit → 一人の人間を思い浮かべる
custom → 社会や文化を思い浮かべる
これだけでも、かなり使い分けやすくなります。
英語を勉強していると、こういう「日本語では同じなのに、英語ではちゃんと分かれている」という単語にときどき出会います。
そこに気づくと、
「なんで二つも単語があるねん!」
ではなく、
「なるほど、英語ではそこを区別するんや」
と見えてきます。
こういう小さな発見も、語学のおもしろいところですね。
