Categories
ブログ

ファンと推しとタニマチ。結局、何が違う?

最近、やたらと「推し」という言葉を耳にします。

「私の推しは〇〇です」
「週末は推し活で忙しい」
「推しのためなら何でもできる!」

なんとも楽しそうです。

ただ、以前から気になっていたことがあります。

昔から「ファン」という言葉があるのに、なんでわざわざ「推し」と呼ぶんでしょう?

さらに、昔から「タニマチ」という言葉もあります。

こちらは、どちらかというとお金持ちのおじさんが登場するイメージです。

ファン、推し、タニマチ。

どれも誰かを応援することに関係する言葉ですが、いったい何が違うのでしょう。

ちょっと考えてみました。

ファンと推しは何が違う?

まず「ファン」。

阪神タイガースが好きなら阪神ファン。サザンオールスターズが好きならサザンのファン。

別に球場に行かなくても、CDを全部持っていなくても構いません。

「好きです」と言えば、それでファン成立です。

では「推し」は何が違うのでしょう?

「推し」は、もともとアイドル文化などで使われていた言葉です。「推しメン」、つまり自分が特に応援しているメンバーという意味ですね。

今では俳優、スポーツ選手、アニメのキャラクター、さらには食べ物や文房具まで「推し」と呼ぶことがあります。

もう何でもありですね。

どうやら「推し」には、好きという気持ちに加えて、積極的に応援することを楽しむという意味合いが強いようです。

コンサートに行く。グッズを買う。SNSで情報を発信する。

さらに推しの誕生日を祝ったり、グッズを並べて写真を撮ったりします。

なるほど。応援そのものが趣味になっているわけですね。

ただ、ここで一つ疑問が湧きます。

昔の熱狂的なファンだって、同じことをしていたのでは?

好きな歌手のポスターを部屋中に貼ったり、コンサートを追いかけたり。

今なら立派な推し活です。

つまり、行動そのものが突然生まれたわけではありません。名前が変わり、楽しみ方が広がったということなのでしょう。

ここでタニマチの登場です

さて、もう一つの言葉が「タニマチ」です。

タニマチとは、もともと相撲界で力士を支援する後援者のことです。

語源には諸説ありますが、大阪の谷町に住んでいた医師が力士を無料で診察していたことに由来するという説が有名です。

タニマチは、単に相撲を見て楽しむだけではありません。

力士に食事をごちそうしたり、活動資金を援助したり、人脈を紹介したりします。

つまり、応援する相手の成功を、お金や人脈で支える人です。

ここで、なんとなく違いが見えてきました。

  • ファン: 好きだから応援する
  • 推し活: 応援すること自体を楽しむ
  • タニマチ: 相手の活動を具体的に支える

もちろん、きれいに分類できるわけではありません。

それにしても、タニマチと聞くと、どうしても高級料亭で力士にごちそうしている社長さんを想像してしまいます。

少なくとも、ペンライトを振っている姿は思い浮かびません(笑)。

今の推し活はタニマチに似ていませんか?

ここで、ちょっと面白いことに気づきました。

最近の推し活には、ずいぶんお金がかかるものもあります。

コンサート、グッズ、ファンクラブ、ライブ配信への投げ銭、クラウドファンディング……。

あれ?

これって、昔のタニマチと似ていませんか?

もちろん、グッズを買うことと、活動資金を直接援助することは同じではありません。

それでも、好きな人の活動を経済的に支えるという点では共通しています。

昔は、力士に100万円を援助できるような人は限られていました。

しかし、今なら1,000人が1,000円ずつ出せば100万円になります。

インターネットのおかげで、誰でも少額から支援に参加できるようになりました。

言ってみれば、タニマチの大衆化です。

ただし、昔ながらのタニマチは力士本人と個人的な付き合いがあることが多いのに対し、推し活では相手が自分の存在を知らないことも珍しくありません。

この距離感は大きな違いですね。

「推し活」という言葉を作った人は商売上手?

もう一つ気になることがあります。

「推し活」という言葉が広まったことで、応援するためにお金を使うことが、以前より自然になったのではないでしょうか。

昔なら、同じCDを何枚も買う人を見て、

「なんで同じものを何枚も買うん?」

と思ったかもしれません。

ところが、今なら、

「推し活だから」

で、なんとなく説明がついてしまいます。

名前がつくことで、一つの文化として認識されるわけですね。

企業にとってもありがたい話です。

ファンはグッズを買い、イベントに参加し、SNSで宣伝までしてくれます。

しかも、本人は喜んでお金を使っています。

なかなかよくできたビジネスです。

もっとも、好きな気持ちと使った金額は必ずしも比例しないはずですが。

タニマチは「推し活」と言わない?

最後に、どうでもいいようで気になることがあります。

若い女性がアイドルにお金を使うと「推し活」。

お金持ちの社長が力士にお金を使うと「タニマチ」。

やっていることには似た部分があるのに、言葉が変わるだけで印象がずいぶん違います。

「週末は推し活です!」

と言えば、なんとなく楽しそうです。

「週末はタニマチ活動です!」

と言われると、急に宴席の準備でも始まりそうです(笑)。

結局、ファンも推しもタニマチも、誰かを応援したいという気持ちは共通しています。

違うのは、その応援の仕方と、相手との関係なのでしょう。

さて、私自身はどうでしょう。

好きな歌手もいますし、応援しているスポーツ選手もいます。

でも、グッズを大量に買うこともなければ、活動資金を援助することもありません。

どうやら、昔ながらの普通のファンということになりそうです。

もっとも、タニマチになろうにも、先立つものがありません。

残念ながら、こちらは気持ちだけでは成立しないようです(笑)。