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なぜ今、たまごっちやシール帳が大流行? 「平成レトロ」が若者に刺さる理由

最近、街のお店やSNSを見ていると、

「これ、昔流行ったやつちゃうん?」

と思うものが、次々と人気になっています。

代表的なのがたまごっち。

そしてもうひとつが、ぷっくりした立体シールを集めてシール帳に貼ったり、友達と交換したりするシール文化です。

特に「ボンボンドロップシール」は大人気で、品切れになるお店も珍しくありません。

ところが、ここでひとつ面白いことがあります。

実はボンボンドロップシールそのものは、昔の商品が復刻されたわけではありません。

比較的新しい商品です。

それなのに、

「懐かしい!」

と感じる大人がたくさんいる。

なぜでしょうか。

そこには、今の「平成リバイバル」を読み解くヒントがありそうです。


ボンボンドロップシールは「昔のシール」ではない

まず、ちょっと整理しておきましょう。

今大人気のボンボンドロップシールは、平成時代に売られていた商品がそのまま復刻されたものではありません。

でも、

  • ぷっくりした立体感
  • キラキラしたデザイン
  • キャラクター
  • シール帳に集める
  • 友達と交換する

という遊び方を見ると、1990年代から2000年代に小学生だった人には猛烈に懐かしく感じられます。

メーカーへの取材記事によると、ボンボンドロップシールは2026年2月時点で累計出荷1500万枚に達し、本来の子どもだけでなく、かつてシール交換をしていた20〜30代にも人気が広がっています。

つまり、

「昔の商品が戻ってきた」のではなく、「昔の遊び方が現代の商品で復活した」

と考えた方が近いんですね。


たまごっちは本当に帰ってきた

一方、たまごっちは正真正銘のリバイバル組です。

初代たまごっちが発売されたのは1996年。

当時は社会現象と言っていいほどの大ブームになりました。

学校に持って行って先生に怒られた人もいるでしょう(笑)。

その後も何度かモデルチェンジを繰り返してきましたが、現在バンダイ自身が**「第四次ブーム」**と呼ぶほど人気が再燃しています。

2025年に発売された「Tamagotchi Paradise」は、予約数が前作の4倍を超えました。

さらに、たまごっちは2025年7月末、世界累計出荷数1億個を突破しています。

すごいですよね。

発売から約30年。

もはや一発屋どころか、立派な長寿キャラクターです。


理由① 昔の子どもが「買える大人」になった

まず一番分かりやすい理由です。

1990年代後半から2000年代にシールやたまごっちで遊んでいた子どもたちは、今では20代、30代、40代になっています。

昔なら、

「お母さん、これ買って!」

と言わなければ買えませんでした。

ところが今なら、

「懐かしい!買お!」

で済みます。

自分のお金がありますから(笑)。

こうした「子ども向けの商品を楽しむ大人」は、近年**キダルト(Kid+Adult)**と呼ばれています。

たまごっちの現在のブームについても、バンダイは子どものころ遊んだ大人、つまりキダルト層が大きな役割を果たしていると説明しています。

これはメーカー側からすれば非常に魅力的な市場でしょう。

子どもより購買力がある。

しかも「思い出」という強力な付加価値までついています。


理由② 大人には「懐かしい」、子どもには「新しい」

平成リバイバルの面白いところはここです。

たとえばシール帳を見た30代の人は、

「あったあった!」

となります。

ところが今の小学生にとっては、

「なにこれ、かわいい!」

です。

同じものなのに、

大人にはノスタルジー、子どもには新商品。

これ、かなり強いですよね。

普通の商品は年齢とともに顧客が入れ替わります。

ところがリバイバル商品は、

「昔好きだった人」

と

「初めて見る人」

を同時に顧客にできるわけです。

たまごっちも同じです。

1996年の第1次ブームを知っている40〜50代。

2000年代の通信たまごっちを知っている20〜30代。

そして初めてたまごっちを見る現在の子ども。

3つの世代が同じ商品を楽しめる。

メーカーが「ノンジェネレーション玩具」と呼ぶのも納得です。


理由③ SNSとめちゃくちゃ相性がいい

ここは昔との最大の違いかもしれません。

昔のシール帳は、

「なあなあ、私のシール帳見る?」

と友達に見せるものでした。

見せられるのはせいぜい数人です。

ところが今なら、

写真を撮って、

TikTok。

Instagram。

YouTube。

一瞬で何万人にも見てもらえます。

しかもボンボンドロップシールのような、

「ぷっくり」

「キラキラ」

「透明感」

のある商品は、写真や短い動画との相性が抜群です。

たまごっちも同じです。

最近はゲームとして遊ぶだけでなく、バッグなどにつけてファッション小物として楽しむ人も増えています。

つまり昔なら、

「遊ぶもの」

だったのが、今では、

「遊ぶ+集める+身につける+撮る+投稿する」

になったんですね。

商品ひとつの楽しみ方が増えています。


理由④ デジタル全盛だからこそ「モノ」が楽しい

これも面白いところです。

現在は、

ゲームもスマホ。

音楽もスマホ。

写真もスマホ。

友達との会話もスマホ。

何でも画面の中に入っています。

だから逆に、

シールを貼る。

シール帳をめくる。

友達と交換する。

たまごっちをバッグにつける。

といった実物を触る遊びが新鮮に感じられるのではないでしょうか。

これはレコードやカセットテープが若者の間で人気になっている現象とも少し似ています。

便利になればなるほど、ときどき人間は不便なものに惹かれる。

なんとも不思議なものです。


理由⑤ 「平成」がレトロになってしまった

そして個人的に一番衝撃なのがこれです。

平成がもう「レトロ」なんです。

昭和生まれの人間からすると、

「いやいや平成って、ついこの前やん!」

と言いたくなります(笑)。

しかし平成元年は1989年。

もう37年前です。

1996年発売の初代たまごっちですら、2026年で30周年です。

そう考えると、若い世代から見れば平成初期や2000年代前半が「昔」なのは当然なんですね。

以前は「昭和レトロ」がブームになりました。

喫茶店。

クリームソーダ。

レコード。

フィルムカメラ。

それと同じように、今度は平成の文化が「レトロでかわいいもの」として再評価され始めています。

シール帳。

たまごっち。

ガラケー。

プリクラ。

キャラクター文具。

デコ文化。

我々が普通に使っていたものが、若者から見ると「エモい」わけです。

時代って恐ろしいですね(笑)。


「懐かしい」だけではヒットしない

ただし、何でも復刻すれば売れるわけではありません。

ここは重要です。

現在ヒットしているものを見ると、単純に昔の商品をそのまま復刻しているだけではありません。

たまごっちなら、新しい機能や現代的なデザインが加えられています。

シール文化なら、SNSで映えるデザインになっています。

つまり、

昔の良さ × 現在の遊び方

になっている。

この組み合わせが強いんでしょうね。

昔の商品をそのまま出すのではなく、

「昔を知らない人でも楽しめるように作り直す」。

マーケティングとして見ても非常に興味深いところです。


世代が違うのに、同じ「かわいい」を共有している

今回のブームを単なる

「昔懐かしブーム」

と考えてしまうと、ちょっともったいない気がします。

現在起きているのは、

親世代、大人になった平成の子どもたち、そして今の子どもたちが、同じ「かわいい」を共有している現象

なのではないでしょうか。

しかも、それをつないでいるのがSNSです。

昔、教室の片隅で数人の友達とやっていたシール交換が、30年後にはSNSを通じて全国規模のブームになる。

そう考えるとなかなか感慨深いものがあります。

そしてもうひとつ。

今の若者が平成を「レトロ」と呼んでいるということは、そのうち、

「2020年代レトロ」

なんて言われる日も来るのでしょう。

そのころにはきっと、

「昔はスマホっていう板みたいなものを指で触ってたらしいで」

なんて言われているかもしれません。

……いや、それはさすがにまだ先か(笑)。

でも、今流行しているものを見ていると、

流行は消えるのではなく、形を変えて何度も戻ってくる。

そんなことを、たまごっちや一枚のシールが教えてくれているような気がします。