こんにちは。あんちもです。今回は「若者の政治参加と社会貢献」というテーマについて考えてみましょう。
テーマの背景
日本では2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられ、高校生も有権者となりました。しかし若年層の投票率は依然として他の年齢層と比べて低い状況が続いています。2023年の参議院選挙では10代の投票率は約34%と、全体平均の約52%を大きく下回りました。
一方で、環境問題やジェンダー平等など社会課題に関心を持ち、SNSでの発信やボランティア活動などを通じて積極的に社会に関わろうとする若者も増えています。政治参加は選挙だけではなく、様々な形での社会貢献活動も含めた広い概念として捉えられるようになってきています。
こうした背景から、若者がどのように政治や社会に参画していくかは、これからの民主主義社会のあり方を考える上で重要なテーマとなっています。
日常生活での例
若者の政治参加や社会貢献は、私たちの身近なところにも見られます。
・学校の生徒会活動や委員会活動を通じた学校運営への参画 ・地域の清掃活動やお祭りなどの地域行事への参加 ・環境保護や災害支援などのボランティア活動への参加 ・SNSを通じた社会問題についての情報発信や議論への参加 ・若者向けの政策討論会やワークショップへの参加
これらの活動は、単なる経験以上に、社会の一員としての自覚や責任感を育む機会となります。
小論文で使える視点
若者の政治参加と社会貢献について考える際には、以下のような多角的な視点が有効です。
- 民主主義の基盤としての視点:若者の政治参加は民主主義の健全性にどう影響するか
- 教育的視点:主権者教育や市民教育はどうあるべきか
- デジタル技術の視点:SNSやオンラインプラットフォームは若者の政治参加をどう変えるか
- 世代間対話の視点:異なる世代との対話や協働はなぜ重要か
- グローバルな視点:世界の若者の政治参加や社会運動から学べることは何か
小論文を書く際のポイント
問いの分析
問いが「若者の政治参加の現状」を問うているのか、「若者の政治参加を促すための方策」を問うているのか、あるいは「若者の政治参加の意義」を問うているのかを見極めましょう。例えば「若者の政治参加はなぜ重要か」という問いであれば、社会的・個人的意義の両面から論じる必要があります。
構成のポイント
導入部分では若者の政治参加の現状と課題を簡潔に述べ、本論では若者の政治参加の意義や具体的な促進策について2〜3の視点から論じ、結論では自分の考えと将来展望をまとめるとよいでしょう。
具体例の活用
実際の若者主導の活動事例(例:気候変動対策を訴える若者の運動、地域活性化に取り組む学生団体)や諸外国の取り組み(例:デジタル投票、学校での模擬選挙)を具体的に挙げることで説得力が増します。
小論文の実例(約800字)
テーマ:若者の政治参加はなぜ重要か、また促進するためにはどのような取り組みが必要か
2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられて以降、若者の政治参加のあり方が注目されている。しかし、若年層の投票率は依然として低く、政治的無関心が指摘される一方で、SNSを活用した社会運動や地域活動に積極的に参加する若者も増えている。本稿では、若者の政治参加の重要性とその促進策について論じる。
若者の政治参加が重要である理由は、まず民主主義の健全性という観点から説明できる。民主主義は多様な市民の声が政策に反映されることで機能するものであり、若者が参加しなければ高齢者中心の政策決定になりかねない。また、教育や年金など将来世代に影響を与える政策については、当事者である若者の意見が不可欠である。
次に、若者自身の市民性の育成という点も重要である。政治参加や社会貢献活動を通じて、若者は社会の一員としての責任感や判断力を身につける。実際、高校生模擬選挙や主権者教育を経験した若者は、その後の投票行動にも積極的であるという調査結果もある。
若者の政治参加を促進するためには、以下のような取り組みが考えられる。第一に、教育現場での主権者教育の充実である。単なる制度の解説だけでなく、社会課題についてディベートを行ったり、地方議会の傍聴や議員との対話の機会を設けたりすることで、政治を身近に感じられるようにすべきである。
第二に、デジタル技術を活用した参加障壁の低減が挙げられる。若者にとって親和性の高いSNSを活用した政策情報の発信や、オンライン投票の検討も有効である。
第三に、若者の声を政策決定に反映させる仕組みづくりである。若者議会の設置や政策立案過程への若者の参画など、実質的な参加機会を増やすことが重要である。
若者の政治参加は、単に投票率を上げることだけが目的ではない。社会の一員としての自覚を持ち、自分たちの未来は自分たちで創るという当事者意識を育むことが真の目的である。そのためには、教育、技術、制度の面から総合的に取り組むことが求められている。
書き方のポイント解説
この小論文では以下のポイントを押さえています。
- 序論:現状の認識と問題意識を簡潔に述べています
- 本論:「民主主義の健全性」「若者自身の成長」という観点から重要性を論じ、「教育」「技術」「制度」の3つの視点から促進策を提示しています
- 具体例:高校生模擬選挙、主権者教育、若者議会など具体的な事例に言及しています
- 多角的視点:当事者としての若者の視点だけでなく、社会全体にとっての意義にも触れています
- 結論:政治参加の本質的な意義に立ち返り、総合的なアプローチの必要性を述べて締めくくっています
実践アドバイス
若者の政治参加と社会貢献のテーマで小論文を書く際には、以下のことを意識しましょう。
- 最新の動向をチェック:選挙結果や若者の投票率、若者主導の社会運動など、最新の事例を押さえておきましょう
- 自分自身の経験を振り返る:生徒会選挙への参加、地域ボランティア活動など、身近な政治参加や社会貢献の経験を整理しておくと、説得力のある論述につながります
- 両面から考える:「若者が政治に参加すべき理由」だけでなく、「参加が難しい理由」や「参加することのデメリット」についても考えておくと、より深い考察ができます
- 国際比較の視点:若者の政治参加率が高い国(北欧諸国など)の取り組みや、世界的な若者主導の社会運動(気候変動対策など)についても調べておくとよいでしょう
- 批判的思考を忘れずに:「若者の声を反映させるべき」という主張は多くの人が賛同しますが、具体的にどのような仕組みが効果的か、またその限界は何かまで考えられるとより説得力のある論述になります
若者の政治参加と社会貢献は、民主主義社会の未来を考える上で非常に重要なテーマです。当事者として自分の意見をしっかり持ちつつも、多様な立場や視点を意識した論述を心がけましょう。