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高校生のための小論文攻略法 Part22:「災害に強いコミュニティづくり」

こんにちは。あんちもです。今回のテーマは「災害に強いコミュニティづくり」です。日本は地震、台風、豪雨など様々な自然災害が多発する国です。近年は気候変動の影響もあり、災害の激甚化が進んでいます。こうした状況の中で、どのように災害に備え、被害を最小限に抑え、迅速に復興するかは、私たちが直面する重要な課題となっています。

テーマの背景

災害対策をめぐる状況は近年大きく変化しています。

  • 東日本大震災(2011年)以降、「自助・共助・公助」の重要性が再認識されている
  • 気候変動の影響により、豪雨や台風などの風水害が激甚化している
  • 高齢化や核家族化により、災害時に支援が必要な「災害弱者」が増加している
  • SNSなどの技術革新により、災害情報の伝達や共有のあり方が変化している
  • 「防災」から「事前復興」へとコミュニティ防災の考え方がシフトしている

「災害に強いコミュニティ」とは、災害の発生を前提とし、被害を最小限に抑える「減災」の視点と、地域の住民や組織が協力して災害に対応する「共助」の仕組みを備えたコミュニティを指します。単なる物理的な防災設備だけでなく、人と人とのつながりや情報共有の仕組みなど、社会的な要素が重視されています。

日常生活での例

皆さんの身近な生活の中にも、災害対策や地域防災に関わる場面はたくさんあります。

  • 学校での避難訓練や防災教育
  • 地域の防災訓練や防災マップづくりへの参加
  • 家庭での非常食や防災グッズの準備
  • 通学路や自宅周辺の危険箇所の確認
  • 災害時のSNSでの情報発信や共有の経験

小論文で使える視点

このテーマについて小論文を書く際には、以下のような視点が有効です。

1. 「自助・共助・公助」のバランスの視点

個人でできる備え(自助)、地域で協力する取り組み(共助)、行政による支援(公助)の役割分担と連携について考察する視点です。それぞれの限界と可能性を踏まえ、バランスのとれた防災体制について論じることができます。

2. 「ハード対策とソフト対策」の視点

堤防や耐震建築などの物理的な対策(ハード対策)と、防災教育や避難訓練などの人的・社会的な対策(ソフト対策)の両面から災害対策を考える視点です。どちらも重要であり、両者を組み合わせた総合的な対策の必要性について論じることができます。

3. 「多様性への配慮」の視点

高齢者、障害者、外国人、子どもなど多様な住民が暮らす地域社会において、それぞれのニーズに配慮した防災対策について考察する視点です。「誰一人取り残さない防災」の実現に向けた取り組みについて論じることができます。

4. 「災害サイクル」の視点

「予防・準備」「応急対応」「復旧・復興」という災害サイクルの各段階に応じた対策について考察する視点です。特に近年は、被災後の復興を事前に考える「事前復興」の視点も重要視されています。

小論文を書く際のポイント

問いの分析

「災害に強いコミュニティづくり」というテーマで出題される際には、以下のような問いの形式が考えられます。

  1. 「災害に強いコミュニティづくりのために必要な取り組みについて論じなさい」
  2. 「自然災害から地域を守るために、若者が果たすべき役割について自身の考えを述べなさい」
  3. 「防災における『自助・共助・公助』の関係性について、具体例を交えて説明しなさい」

問いをしっかり分析し、求められている内容に合わせて論を展開しましょう。

構成のポイント

小論文の構成例としては、以下のような流れが考えられます。

序論:近年の災害状況と災害に強いコミュニティの必要性 本論①:防災における「自助・共助・公助」の役割と連携 本論②:災害に強いコミュニティに必要な要素(例:情報共有、人材育成、多様性への配慮) 本論③:具体的な取り組み事例と効果(例:防災訓練、防災教育、地域の支え合い) 結論:災害に強いコミュニティづくりの展望と自分の考え

具体例の活用

抽象的な議論だけでなく、具体的な事例や数字を盛り込むことで説得力が増します。

  • 過去の災害からの教訓(東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨など)
  • 先進的な地域防災の取り組み(神戸市、静岡県など)
  • 自分自身が住む地域や学校での防災活動の経験
  • 災害ボランティアの活動内容や成果

小論文の実例

では、実際に「災害に強いコミュニティづくりのために必要な取り組みについて論じなさい」という問いに対する小論文の例を見てみましょう。


災害に強いコミュニティづくりに向けて

近年、日本は東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など多くの自然災害に見舞われている。特に気候変動の影響により風水害の激甚化が進み、「想定外」の災害が頻発している。こうした状況下で、被害を最小限に抑え、迅速に復興するためには、「災害に強いコミュニティ」の構築が不可欠である。本稿では、そのために必要な取り組みについて論じる。

まず、地域の防災力を高めるためには、住民一人ひとりの防災意識の向上と具体的な備えが基盤となる。東日本大震災の教訓として、「自分の命は自分で守る」という「自助」の重要性が再認識された。例えば、家具の固定や非常食の備蓄、避難経路の確認などの基本的な備えを各家庭で徹底することが重要である。しかし現状では、内閣府の調査によると、「災害に備えて準備をしている」と回答した人の割合は約40%にとどまっている。

次に、地域住民の連携による「共助」の仕組みづくりが重要である。災害発生直後は、救助や支援の人員が限られるため、住民同士の助け合いが生死を分ける。例えば、兵庫県神戸市の真野地区では、阪神・淡路大震災時に日頃からのまちづくり活動を通じた住民のつながりが機能し、迅速な救助活動や炊き出しが行われた。平常時からの地域活動や防災訓練を通じて住民同士の顔が見える関係づくりを進めることが必要である。

また、多様な住民に配慮した防災対策も欠かせない。高齢者、障害者、外国人、子どもなど、災害時に特別な支援が必要な「災害弱者」への対応は重要な課題である。静岡県静岡市では、災害時要援護者の個別支援計画の作成や、多言語による防災情報の提供など、多様なニーズに対応した取り組みを進めている。

さらに、情報通信技術を活用した防災体制の構築も重要である。2016年の熊本地震では、SNSを通じた情報共有が被災者支援に大きく貢献した。一方で、デマ情報の拡散という課題も露呈した。正確な情報を見極める情報リテラシーの向上も必要である。

災害に強いコミュニティづくりは、単に物理的な防災設備を整えるだけでなく、人と人とのつながりや信頼関係を育み、地域の課題解決能力を高めることにある。「自助・共助・公助」のバランスのとれた防災体制を構築し、平常時から地域のつながりを大切にする取り組みを進めることで、災害時の被害を最小限に抑え、迅速な復興につなげることができるのである。


書き方のポイント解説

この小論文の特徴を解説します。

1. 序論での問題提起

冒頭で近年の災害状況を具体的に示し、「災害に強いコミュニティ」の必要性を明確にしています。

2. 多角的な視点からの分析

「自助」「共助」の観点から始め、多様性への配慮、情報通信技術の活用など、様々な角度から災害対策を分析しています。

3. 具体例の効果的な活用

阪神・淡路大震災時の真野地区の事例、静岡市の要援護者支援、千葉市の防災アプリなど、具体的な事例を挙げて説得力を高めています。

4. 自分自身の経験の活用

自分が参加した防災訓練の経験を取り上げ、そこから学んだことを述べることで、当事者意識を示しています。

5. 災害対策の社会的意義への言及

最後に、災害対策が単なる防災だけでなく、地域の絆や課題解決能力の向上にもつながることを指摘し、テーマの意義を深めています。

実践アドバイス

小論文対策として、以下のことを日頃から心がけましょう。

  1. 情報収集: 過去の災害事例や、先進的な防災の取り組みについて情報を集めましょう。内閣府防災情報のウェブサイトや防災白書なども参考になります。
  2. 自分の地域の防災を知る: 自分が住む地域のハザードマップや避難所、防災計画などを確認しておきましょう。地域の防災訓練にも積極的に参加してみましょう。
  3. 多様な立場からの視点: 高齢者、障害者、外国人など、様々な立場の人が災害時にどのような困難に直面するかを想像し、考えてみましょう。
  4. メディアリテラシーの向上: 災害時の情報の取得方法や、正確な情報の見分け方について考えてみましょう。災害時のSNSの活用と注意点についても学んでおきましょう。
  5. 日常からのつながりづくり: 災害時に力を発揮するのは日常からのコミュニティのつながりです。学校や地域の活動に積極的に参加し、人とのつながりを大切にしましょう。

災害に強いコミュニティづくりは、特別なことではなく、日常生活の延長線上にあります。この機会に、自分の身の回りの防災について考え、できることから行動してみてください。

次回もまた、重要なテーマで小論文のコツをお伝えします。一緒に頑張りましょう!